“呼吸を改善するだけで姿勢が良くなる”
こんな噂を耳にしたことはありませんか?
“姿勢”と“呼吸”にはどのような関係があるのか分からないという方もいるはずです。
この2つの関係性について見ていきましょう!
普段何気なくしている呼吸には「リズム」があります。
このリズムこそが私たちの生命活動を支えているというのです!
一体どのような意味なのか詳しく見ていきたいと思いますので、ぜひ最後まで目を通してみてくださいね!
呼吸を改善するだけで姿勢が良くなる?
「呼吸を味方につける」
一体この言葉はどういう意味なのでしょうか?
呼吸と姿勢には一見何の関わりがないように思いますが、実は大いに関係があると言われています。
繰り返される「吸う」「吐く」のリズムは、速くなったり荒くなったりすることもありますが、基本的には寄せては返す「さざ波」のように、穏やかに安定したペースでゆらぎ続けていきます。
この止まることのないゆらぎが、日々私たちの体を動かし、私たちの生命活動を支えている原動力なのです。
実は、呼吸のゆらぎに姿勢や動作を合わせていると、私たちの身体機能はかなり引き上げられます。
力を入れずとも姿勢が安定するようになり、動作も流れるように美しく、力強くなっていくのです。
「呼吸」と「姿勢」は、ほとんど一体のようなものです。
切っても切れない関係にあります。
なぜかというと、どちらも使う筋肉がほぼ同じだからです。
いわゆる呼吸筋は、肋間筋、僧帽筋、脊柱起立筋、腹斜筋、腹直筋、横隔膜など「呼吸に関わっている筋肉」の総称ですが、姿勢を維持する働きも兼務しています。
つまり、姿勢のゆらぎも、呼吸のゆらぎも、結局は同じものなのです。
しかし実際には、ほとんどの現代人は、呼吸と姿勢がちぐはぐになっています。
「呼吸」と「姿勢」がまったく別物だと考えられてしまい、1つのゆらぎとして連動・統合されていないのです。
もし緊張などで呼吸が浅くなっていれば、姿勢にゆらぎも起こりにくくなります。
反対に、「気をつけ」のような姿勢で力を入れていては、呼吸もおさえつけられて、ゆらぎは起こりません。
別物だと思っていた「呼吸」「姿勢」が実は1つのものだったと気付いたとき、ゆらぎは完成されるのです。
深くてゆっくりした呼吸のゆらぎに導かれて、姿勢もゆらいでいる。
姿勢のしなやかなゆらぎの中で、深くてゆっくりした呼吸ができている。
これが「美しい」「疲れにくい」「動きやすい」姿勢に最も近い、理想の状態です。
参考文献:「姿勢が悪い人」が知らない呼吸という根本問題 | 健康 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
姿勢改善に効果のある呼吸のやり方とポイント!
毎日長時間デスクワークをしている、不安やイライラなどを感じやすい、といったことで呼吸が浅くなりがちな人は、以下で紹介する呼吸筋ストレッチを行って胸郭を取り囲む呼吸筋を柔軟にすることで、深くゆっくりとした呼吸を目指しましょう!
呼吸筋ストレッチは「吸う」「吐く」という呼吸をしっかり意識し、息を吸いきる、吐ききるまで行うことが効果アップの秘訣です。
猫背などの姿勢の悪さを改善しながら、深くゆっくりした呼吸に近づける5つのストレッチを早速始めていきましょう!
肩のストレッチ(吸う筋肉を意識)
<やり方>
1 足を肩幅くらいに開いて立ち、背筋を伸ばす。
2 鼻から息をゆっくり吸いながら、両肩を前からゆっくり引き上げ、後ろに回す。
3 息を吸いきったら、口からゆっくり吐きながら肩の力を抜いて下ろす。
4 3~5回行う。
首のストレッチ(吸う筋肉を意識)
<やり方>
1 片方の腕を斜め下方向に伸ばし、頭をその腕とは反対側に倒す。
2 この状態で鼻からゆっくり息を吸う。
3 息を吸いきったら、口からゆっくり吐きながら元の姿勢に戻す。
4 反対側も同様に行い、左右各3~5回行う。
体幹のストレッチ(吐く筋肉を意識)
<やり方>
1 頭の後ろで両手を組み、ゆっくり息を吸う。
2 鼻から息を吸いきったら口からゆっくり吐きながら手を組んだまま腕を上に伸ばす。
3 手の甲が上を向くように伸ばす。
4 息を吐ききったら元の姿勢に戻し、ゆっくり呼吸する。
背中のストレッチ(吸う筋肉を意識)
<やり方>
1 胸の前で両手を組み、鼻から息をゆっくり吸いながら背中を丸め、両腕を前に伸ばす。
2 息を吸いきったら口からゆっくり吐きながら元の姿勢に戻す。
胸のストレッチ(吐く筋肉を意識)
<やり方>
1 腰の後ろで両手を組み、鼻からゆっくり息を吸う。
2 息を吸いきったら口からゆっくり吐きながら、肩甲骨を寄せるイメージで両腕を下に伸ばしていく。
3 息を吐ききったら元の姿勢に戻し、ゆっくり呼吸する。
ストレッチは仕事の合間などいつ行ってもOKです!
毎日続けることで姿勢が良くなり、呼吸も自然と深くゆっくりとしたリズムになります。
その結果、感情も安定しやすくなるといった効果が期待できます。
なお、血圧が高い方は過度に行うと血圧が上昇する可能性があるので、
主治医に相談して心地よいと感じる程度で実施することを心がけてください。
参考文献:姿勢を改善するとメンタルもリフレッシュできる「呼吸筋ストレッチ」 | 特集テーマ | サワイ健康推進課
呼吸を見直すメリットは?
空気の交換は肺で行われていますが、肺自体が自ら伸び縮みできるわけではなく、周囲の筋肉や骨の動きによって伸ばされたり縮められたりしています。
私たちは無意識に呼吸を繰り返していますが、主に腹式呼吸と胸式呼吸の2つの呼吸法があります。
胸式呼吸とは、肋間筋(肋骨と肋骨の間の筋肉)を使い、肋骨の上げ下げにて行われる呼吸法です。
腹式呼吸とは、胸腔と腹腔を仕切っている膜状の筋肉である横隔膜を使う呼吸法です。
肋間筋や肋骨、横隔膜の動きにはどれも制限がありますが、肋間筋や肋骨のほうが動く範囲が少なく、横隔膜のほうが動く範囲が大きいです。
横隔膜に引っ張られることで肺は広がりやすくなり、胸式呼吸よりも腹式呼吸のほうが肺活量も多いとされています。
【腹式呼吸のメリット】
腹式呼吸を意識することで身体にはさまざまなことが起きます。
自律神経を調整しリラックスできる(副交感神経を優位にする)、姿勢が良くなる、便通が改善しやすい、声量が増える、代謝が向上するなど、メリットがたくさんあります。
参考文献:皆さん、呼吸使えていますか?|医療コラム|新百合ヶ丘総合病院
呼吸が乱れる主な原因は?
皆さんは、以下の「習慣」に心当たりはありませんか?
・ストレス、疲労過多
・睡眠不足、夜型生活
・日常的に口呼吸をしている
・ずっと同じ姿勢で作業をしている
・スマホやパソコンの画面をずっと見ている(猫背)
※上記の習慣に心当たりがある人は、呼吸が苦しくなりやすい傾向があります。
たとえストレスによる息切れだとしても、放置していると「心筋梗塞」を招く恐れがあります。
また、「パニック障害」や「不安症」などといった心の病気につながるケースもあるため、注意が必要です。
呼吸が苦しくなる人は、ストレス・疲労過多に注意して生活するようにしましょう。
日常生活の中で息苦しさを引き起こしやすいものとして、過呼吸(過換気症候群)があります。
不安や緊張などで呼吸のリズムが乱れると、血液中の酸素と二酸化炭素のバランスが崩れ、息を吸っても酸素が十分に身体の中に行きわたらず、呼吸がしづらい、息苦しいと感じます。
激しい過呼吸でなくても、私たちは、ストレスや不安や緊張状態が続くと、知らない間に、軽い過呼吸状態になっています。
手足のしびれや、動悸等の症状も現れ、さらに息苦しくなると、ますます不安が高まり、症状が強まるという悪循環が生まれます。
これが、過呼吸(過換気症候群)の息苦しさの原因なのです。
参考文献:呼吸が浅い・息苦しい…ストレス?自律神経?息が深く吸えないときの対処法 | Medicalook(メディカルック)
参考文献:過呼吸の原因と対処法について。息苦しい!と感じる原因はパニック障害かも? – あらたまこころのクリニック | 名古屋市瑞穂区の心療内科・精神科
注意したいよくない呼吸の仕方は?
人間は本来、安静時には鼻呼吸をしています。
運動したときなど、大量の酸素を取り込む必要があるときには口を開けて、鼻と口の両方で呼吸をします。
呼吸するとき、鼻には2つの大切な役割があります。
1つはフィルターのような役割です。
鼻の奥の粘膜上には、綿毛と呼ばれる細い毛がびっしりと生えていて、同じリズムで揃って弓なり運動を繰り返しています。
これは「綿毛運動」と呼ばれます。
外から入ってきた空気に含まれている細菌、ウイルス、花粉、塵(ちり)などの不純物は、粘膜でとらえられ、この綿毛運動によって外に押し流されます。
もう1つ、鼻はエアコンの役割も果たしています。
たとえ、外界が極度に寒く乾燥した環境でも、吸い込んだ空気を鼻の中で加温・加湿することによって、気道には温度37度、湿度100%の空気を送り、体に必要な熱や湿気を取り込んでいるのです。
口呼吸になると、鼻のフィルター機能やエアコン機能を介さずに、気道に空気が直接入るため、細菌やウイルスに感染するリスクが高まります。
特に就寝中は、意識して口を閉じることができず、長時間口を開けたままになるので、朝起きたときにのどが痛い、よだれが出る、といった症状を自覚する人もいます。
いびきや無呼吸から睡眠の質が低下し、さまざまな不調につながることもあります。
また、口が乾燥して唾液が少なくなれば浄化作用・殺菌作用が得られず、歯周病菌などの細菌の温床にもなるので、口臭や歯周病の悪化のリスクも考えられます。
さらに、子供の口呼吸にも注意が必要です。
ポカンと口を開けた状態が習慣になっている子供もいます。
幼少の頃から口呼吸が習慣になっていると、口まわりの筋肉が緩んで弱くなります。
それによって前歯が前方に突き出たりするなど、長期的にあごの発育(歯並び・嚙み合わせ)にも影響を与える恐れがあります。
参考文献:乾燥する季節 口呼吸への注意と対策 | 特集テーマ | サワイ健康推進課
まとめ
365日24時間、意識的に呼吸をすることは難しいものです。
起きているときは意識して正しい呼吸ができたとしても、就寝時は必ず無意識な呼吸になるものです。
とはいえ、呼吸と姿勢に関係があることが分かったので、正しい呼吸法を身に付けていて損はないでしょう!
最近、呼吸がしづらいな…と感じている方は、ぜひ今日の記事を参考にしてみてはいかがでしょうか?
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