生活習慣病を予防する飲酒の量や頻度の目安は?どんな病気になりやすい?

今や誰もがなり得る生活習慣病は、予防ができる病気の一つです。

特に普段から飲酒をする方は、その“量”や“頻度”が気になるところ。

アルコールと生活習慣病の関係性について知りたくありませんか?

飲酒は適量を守らなければ「アルコール依存症」という、恐ろしい病気を招きかねません。

どの程度の飲酒でどんな病気になりやすいのか、その目安について今日は詳しく見ていきたいと思います。

手遅れになる前に予防ができる病気はしっかり対策していきましょう!



目次

生活習慣病を予防する飲酒の量や頻度の目安は?

厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」によると、「節度ある適度な飲酒量」は、1日平均純アルコールで約20g程度であるとされています。

一般に女性は男性に比べてアルコール分解速度が遅く、体重あたり同じ量だけ飲酒したとしても、女性は臓器障害を起こしやすいため、女性は男性の1/2~2/3程度が適当と考えられています。

生活習慣病のリスクを高める飲酒量

厚生労働省は、平成25年から開始された「健康日本21(第二次)」で、「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」を、1日あたりの純アルコール摂取量が男性で40g以上、女性で20g以上と定義しています。

純アルコール20gに相当する酒量

・ビール(5%):ロング缶1本(500ml)
・日本酒:1合(180ml)
・ウイスキー:ダブル1杯(60ml)
・焼酎(25度):グラス1/2杯(100ml)
・ワイン:グラス2杯弱(200ml)
・チューハイ(7%):缶1本(350ml)

純アルコール量を計算してみましょう!

アルコール度数5%のビールと、度数40%のウイスキーでは同じコップ1杯でも摂取したアルコール量は全く異なります。

酒に含まれる純アルコール量を知っていれば、飲んだ酒の影響や分解時間などが推定でき、飲酒量のコントロールに役立ちます。

通常、純アルコール量は、グラム(g)で表され、アルコールの比重も考慮して以下の計算式で算出します。

お酒の量(ml)×アルコール度数/100×0,8(アルコールの比重)=純アルコール量(g)

例えば…

アルコール度数5%のビールロング缶1本(500ml)に含まれる純アルコール量は、500ml×5/100(=5%)×0,8=20g となります。

【 正しいお酒の飲み方 】

美味しいお酒を楽しく飲んで、健康的な生活を送るには、この「正しいお酒の飲み方」=「適正飲酒」の知識を身につけ、実践することが何よりも大切です。

・すきっ腹で飲まない!

空腹時は胃がからっぽのため、お酒を飲むとあっという間にアルコールが吸収され、悪酔いの原因になります。

また、胃壁を守るものがないため、強いお酒は胃の粘膜に直接ダメージを与えてしまいます。

・ゆっくりと食事と一緒に!

お酒を飲む人の中には、飲みながら食事を摂らないという人もいます。

でも、その飲み方では体を壊してしまいます。

お酒は美味しい食事とともに飲むことを習慣づけましょう。

そうすることで、飲みすぎの予防にもなります。

・休肝日をつくる!

毎日お酒を飲むと、肝臓に負担をかけてしまいます。

胃や腸といった消化管の粘膜も荒れてきます。

週に2日程度の休肝日を作り、肝臓を休ませましょう。

・強いお酒は薄めて飲む!

ウイスキーや焼酎など、アルコール度数の高いお酒は胃腸への刺激が強いうえに、血中アルコール濃度が早く上昇するので酔いが回りやすく、肝臓への負担も高まります。

水などで薄めてゆっくり楽しみましょう。

参考文献:適量ってどのくらい?|DRINK SMART お酒の正しい付き合い方を考えよう|サントリー

生活習慣病を運動で予防する方法5選!どんな運動がオススメ?



生活習慣病と飲酒の関係性について

少量のお酒は身体に良いと言いますが、どの程度なら良いのでしょうか?

「酒は百薬の長」は故事ことわざ辞典によると、「適量の酒はどんな良薬よりも効果がある」という意味を表しています。

実際にお酒を飲むことで、以下のような効果が期待できると言われています。

・リラックス効果
・血管を広げて血液の流れを良くする効果
・LDL(悪玉)コレステロールの増加を抑え、HDL(善玉)コレステロールを増やす作用

適度な飲酒は生活習慣病につながる!

適度な飲酒はアルコール性肝障害や中性脂肪の増加、高血圧、糖尿病、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患などの原因になります。

普段からお酒を飲む習慣があるという方は適量を心がけましょう。

生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している割合の年次比較(20歳以上、男女別)

生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合(20歳以上、性・年齢階級別)

適度な飲酒を避ける習慣

お酒を飲みすぎている人は、以下の飲酒量を減らす工夫をすると良いでしょう。

【 ポイント 】

・飲む量をあらかじめ決めておく
・食べながら飲む
・酔うために飲まない
・休肝日をもうける
・ノンアルコールビールなどを代わりに飲む

参考文献:飲酒と生活習慣病の関係とは?飲酒量の目安や飲酒量を減らす工夫|【健康情報ブログ】-万田発酵



飲酒によってどんな病気になりやすくなる?

お酒が引き起こす生活習慣病には、肝障害、膵炎、脂質異常症、高尿酸血症、高血圧症、食道がんなどさまざまな病気があります。

ここからはこれらの病気を詳しく解説していきます。

肝障害

アルコールの代謝を担っている肝臓は、多量飲酒者ではまず障害が起きます。

肝臓は症状が出たときには、重症になっていることが多いので要注意です。

肝臓が沈黙の臓器と言われるゆえんです。

多量飲酒で上昇するy-GTPは測定方法により異なりますが、100IU(国際単位)以上になったら肝障害を起こしている可能性があります。

アルコール性肝障害で最初になるのは肝脂肪です。

それでも多量飲酒が続くとアルコール性肝炎となり、時には、肝臓が機能を果たせなくなる肝硬変となることもあります。

y-GTPが上昇したら禁酒が原則です。

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がん

お酒をよく飲む人には口腔がん、咽頭・喉頭がん、食道がん、肝臓がん、乳がんなどが発症しやすくなることが分かっています。

飲酒に喫煙が加わるとがん発症のリスクが高くなります。

中枢神経系の障害

多量飲酒は脳に障害を及ぼし、時には脳の委縮を促進させます。

とりわけ思考、自発性(やる気)、感情、性格、理性などの機能をつかさどる人で最も発達した前頭葉が障害されやすいのです。

長期の多量飲酒はアルコール性認知症になりやすいと考えられています。

しかし、断酒とリハビリで回復が望めますので諦めないでください。

参考文献:飲酒|生活習慣編|気になる病気・健康のこと|大阪がん循環器病予防センター



アルコール依存症との向き合い方

飲酒をする量、場所、時間などを自らコントロールすることができなくなる状態をアルコール依存症といいます。

必ずしも大酒家がかかるものではなく、お酒の飲み方を誤ると誰でもかかりうる可能性があります。

Q. アルコール依存症ってどんな兆候がある?

・休日の朝酒
・2日酔いの迎え酒
・1日中、延々と飲み続ける
・飲まないと禁断症状(頭痛、手の震えなど)がでる
・お酒のことで、友人や家族の仲がうまくいかなくなったことがある

専門医療機関で“依存”の治療をしましょう

アルコール依存症の専門医療機関では、健康問題だけではなくアルコール依存症という根本的な問題を治療します。

アルコール依存症の人は、専門医療機関で適切な治療を受けなければ、飲酒行動を変えるのは難しいと言われています。

治療は、患者さんの症状に応じてカウンセリング等の心理社会的治療を中心に行われます。

家族が気をつけること

「お酒で起こった問題を家族が尻拭いする」、「飲み屋のつけを代わりに払う」、「外で飲んで暴れられると困るので家で一緒に飲む」などの行動をイネイブリング(飲酒を可能にし、助長すること)と呼びます。

家族は、このようなことはしないことが重要です。

本人の飲酒問題は本人に返し、本人が責任を持って自分の飲酒問題に向き合うことが大切だからです。

家族が毅然とした態度をとらないと、
本人がいつまでも家族に依存して甘えるようになり、治療もうまくいきません。

次に、外部の力を借りることです。

お酒の問題を隠したまま身内で解決しようとして、かえって問題が大きくなることが多いのです。

行政機関や専門の医療従事者、自助グループなど外部の力を借りることで、家族が楽になり、本人の治療意欲も高まります。

また、アルコールを飲み続ける期間が長いほど、健康問題、社会問題が深刻化します。

早期発見、早期治療なら、治療効率も上がります。

参考文献:ご家族の方へ | アルコール依存症治療ナビ



飲酒以外に気をつけたほうがいいこと

最後に飲酒以外に生活習慣病を予防する方法について3つご紹介していきます!

運動習慣

適度な運動は、生活習慣病の予防に何より大切です。

運動によって、肥満防止・血流の改善・筋力の向上などを期待できるためです。

身体を動かせば消費エネルギーが増えます。

同じく脂肪も燃焼されるため、肥満予防・改善につながります。

また、運動は血流促進や血管の柔軟性を保つうえでも有効です。

心臓・血管の働きがサポートされるため、高血圧・動脈硬化の予防を期待できます。

さらに、筋力・身体機能の維持にも運動は欠かせません。

特に筋力の低下は、歩行困難・寝たきりのリスクを高めます。

足腰を弱らせないためにも、適度な運動によって筋肉や体力を維持しましょう。

ちなみに、運動は骨も適度に刺激するため、骨粗しょう症の予防にも役立ちます。

生活習慣病の予防のためには「有酸素運動」が特にオススメです!(ウォーキング、散歩、水泳、軽いジョギング、ストレッチ、ラジオ体操、ヨガなど)

スポーツが苦手という方は、日常生活の中で運動量を増やす工夫をしましょう。

例えば、いつもより大股で歩いたり階段を使うのもGOOD!

なお、生活習慣病を予防するには定期的な運動を習慣づけることが大切です。

途中で挫折しないためにも、運動は自分が無理なく続けられる範囲で行いましょう。

生活習慣病予防のための運動にはどんな効果が期待できる?



食生活

生活習慣病を予防するためには、食事のバランスを整えることが大切です。

脂質の摂取はなるべく控え、タンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維がバランス良く摂れる献立を工夫しましょう。

また、食事は1日3食、腹八分目を心がけましょう。

理由は「肥満を予防するため」です。

特に、朝食を抜くことが多いという方は要注意です。

1食でも抜くと、身体が必要以上のエネルギーや脂肪をためこもうとします。

そのため、食事量がさほど多くなくても肥満になりやすくなるのです。

もちろん、1回あたりの食事量をほどほどにすることも必要です。

簡単に言えば、「食べ過ぎ」には気を付けましょう。

腹八分目を実行するには、よく噛んで食べるのがオススメです!

噛むことで満腹中枢が刺激されるため、自然と食事量を減らせます。

あわせて、糖質・塩分の摂り過ぎにも注意しましょう。

糖質の過剰摂取は、肥満だけでなく糖尿病のリスクを上昇させます。

また、塩分には血管を収縮させる作用があります。

つまり、摂り過ぎると高血圧・動脈硬化のリスクが高まるのです。

特に外食や加工品は、塩分・糖質・脂質過多になりやすいため注意しましょう。

生活習慣病を食事で予防するための方法とポイント10選!

睡眠

生活習慣病を予防するには、質の良い睡眠をとることが大切です。

睡眠不足は、生活習慣病の発症リスクを高めます。

例えば、睡眠不足になるとインスリンの働きが低下します。

インスリンが機能しなくなると、血糖値が下がりにくくなるため、糖尿病のリスクが上昇します。

また、睡眠不足は高血圧・動脈硬化とも深い関係があります。

睡眠が不足すると、交感神経が活性化しやすくなります。

交感神経は、血圧・脈拍を上昇させる神経系です。

つまり過度に活発化すると、血圧が慢性的に高くなります。

それだけ心臓・血管に負担がかかるため、高血圧や動脈硬化にかかりやすくなるのです。

ちなみに十分な睡眠をとるには、単純に睡眠時間を長くするだけでは不十分です。

たとえ睡眠時間が長くても、眠りが浅ければ睡眠不足になります。

十分な睡眠を得るには、睡眠時間の確保と合わせて、睡眠の質を上げることを心がけましょう。

以下のようなポイントに気を付けましょう!

・就寝、起床時間を一定にする
・起床後は朝日を浴びる
・適度な運動
・就寝前の2~3時間前に入浴する
・スマホ、PCの使用は就寝の1時間前までにする
・寝酒は控える

生活習慣病の予防と睡眠の関係性!睡眠不足だと病気になりやすい?

参考文献:生活習慣病の予防法を詳しく解説!予防健診の内容や受け方も紹介 | 健達ねっと



まとめ

今日は、生活習慣病を予防する飲酒の量について詳しく見てきました。

日頃からお酒を飲む習慣があるという方や飲酒量が多い方は、生活習慣病以外の病気にも注意が必要です。

また、飲酒量や頻度が多いと「アルコール依存症」になり兼ねません。

そのような生活から抜け出せなくなる前に、普段の生活の中で休肝日をつくったり、ノンアルコールビールを取り入れるなど、自分なりの工夫も大切です。



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